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NEWS

12/6/13
書籍「社労士が見つけた!(本当は怖い)採用・労働契約の失敗事例55」6/13発売しました。
12/3/28
書籍「社労士が見つけた(本当は怖い)解雇・退職・休職実務の失敗事例55」3/28発売しました。
11/12/21
書籍「税理士が見つけた!(本当は怖い)事業承継の失敗事例33」12/21発売しました。
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東京の季節

著者
高木健夫
発行
昭和30年(1955年)
著者
プロフィール
1905年福井県生まれ。「国民新聞」「読売新聞」「大阪毎日新聞」などの記者を経て、昭和14年北京で「東亜新報」を創刊して主筆となる。  戦後「読売新聞」に論説委員として復帰、昭和24年から17年間コラム「編集手帳」を担当。

雪国のモード

 雪国のモード
 寒い雪国の女性の防寒モードといえば昔は角巻ときまっていたが、今では若い女性はほとんど例外なしに「君の名は」の真知子巻というやつだ。
 角巻もあれはあれで明治時代の流行のトップをきったもので大幅の毛織のショールなのだ。真知子巻のストールもショールなのだから、いわば角巻は祖母で真知子巻は孫にあたるわけだ。その「母の名は」といえばやっぱりショールで肩全体をおおってヒザまでくる大正時代にはやったオールド・ローズのあの色の肩掛になろう。
 お高祖ズキンにすっぽりと頭から顔をかくし、それに角巻を身体ぜんたいにマントのように羽織り、それにツマカワのついたアシダをはいて歩きにくい雪の道をよちよちと歩いていたのに、いまでは真知子巻のフードにオーバー、レインシューズもさっそうと雪道をおおまたに歩く女性たちのすがた。あのショールやスカーフを頭に巻いてフード(ズキン)にする風習はたしかに大陸のロシア婦人のプラドーク(ズキン)のまねにちがいあるまい。春先の風の吹く日などスカーフを頭からかぶってホコリを防ぐ、あれは昭和十年ごろからのモードだ。大陸輸入のモードで、トルストイの「復活」に出て来るカチューシャの姿だ。カチューシャ巻というべきか。
 真知子巻のストールがカチューシャ巻とちがうところは、頭からかぶってズキンにしたその残りの布がマフラーとなって首に巻きつくところかもしれない。しかしあのカチューシャの巻いていたのは案外「角巻」であっただろうから、そうすると真知子巻もカチューシャ巻もその源は同じということになる。去年日本へ来て開いた流行王クリスチァン・ディオールのコレクションのなかにはストールのあしらってある服が相当にあったというから、この真知子巻はいまや日本のみならず世界の流行であり、そうして案外流行のトップをきっているのかもしれない。ショールといえば、カルメンのやっていたあの黒いレースの幅の広いショールもやがては初夏の流行にとり入れられるかもしれない。流行というものはつねに古いものをむし返すものなのだから…。