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NEWS

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書籍「社労士が見つけた!(本当は怖い)採用・労働契約の失敗事例55」6/13発売しました。
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東京の季節

著者
高木健夫
発行
昭和30年(1955年)
著者
プロフィール
1905年福井県生まれ。「国民新聞」「読売新聞」「大阪毎日新聞」などの記者を経て、昭和14年北京で「東亜新報」を創刊して主筆となる。  戦後「読売新聞」に論説委員として復帰、昭和24年から17年間コラム「編集手帳」を担当。

母の日

  母の日―五月の第二日曜日―
 「あんなことで子供が育つんでしょうかねえ」「よくまア、怪我もしないで……」「赤ちゃんを家に監禁しておいて御夫婦で買物なんてねえ……」日本の母親たちは外国人の母の子供の育て方やシツケ方をみて、ただただあきれるばかりである。日本の女性を妻に持ち、西洋館に住み、中国料理をたべる―これが世界の男性の理想だといわれるほど、ことほど左様に日永ら女性は献身的であり、世界の女類のうちの女房人種の申では最優秀の部に属する。しかし、母性の場合はどうであろうか? もちろん人情的、愛情的には満点以上である―が子供を育てる態度は、はたして今のままでよいものであろうか。背中にしばりつけ、泣けば電車の中でもどこでも乳房をフクませ、喧嘩してくれば相手の子供だけが悪いと思いこみ、老いては子に従って盲目的に子供にすがりつく。すべての母親がそうだというのではないが、総じて日本の母親は子に対して愛情過多である。
 愛情過多、大いに有難いが、それに良識と知性の裏打ちと社会性がほしい。“母の日”は赤いカーネーションを胸にお母さんありがとうをいう日だが、それをいわれる日本のお母さんたちに特にお願いしたい。子供の社会性を育てるようにして下さい、と―。ミス日本も結構だが、それと併行して文部・厚生両省あたりで“日本の母”のコンテストをやってもらいたい。理想的な日本の母性かえらび、この日にその偉大なる母に全社会的な感謝と賞讃と激励をおくるのである。そうしてこのような母性は、ただに愛情ばかりでなしに、もっと幅のひろい人生観、社会観か待った人でなければならぬこと、もちろんである。
 お母さん、お元気ですか。リューマチはこのごろお痛みになりませんか……遠く故郷をはなれている人たちは、きょう、五月第二日曜日の「母の日」に、きっとこういう手紙を書きたくなるだろう。いくつ何十になっても、子の胸にあるのは「母」であり、母の面影であり、母の姿である。いかめしい大学の学長も、その母の前には幼児のごとくに、ひたすらに母への慕情にひたる。南原前東大学長は歌った
 病み呆けし母に口よせあたたかき彼岸近しと吾のいひたり
南原博士は、母堂の病あつくなった時には
 いまはの母の額にあつる手よいのちは通へ吾が母の上に
 かなしみの極みにありて風を静め湖を歩み給ひしイエスを信ぜむとす
と歌い、さて母亡き夏には
 ははそはの母の形見の夏ごろもわが着つつ行き母の恋しも
と歌っている。この気持は万人の心に通ずるものであろう。
 たはむれに母を背負ひてそのあまり軽きに泣きて三歩あゆまず
という有名な啄木の歌も母をおもう時におもい出される。白髪になっても、ハゲ頭になっても、どんなえらい学者になっても、その人が母をおもう時こそは、純一無垢な幼児の心になることが出来る。この複雑な世の中に、不安な日々を、ほとんど戦うようにして活動しなければならぬいそがしい人々にとって、母をおもう時だけでも、せめて純粋に、美しく、安心した諺特になり得るということはなんと有難いことであろう。