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NEWS
- 12/6/13
- 書籍「社労士が見つけた!(本当は怖い)採用・労働契約の失敗事例55」6/13発売しました。
- 12/3/28
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- 11/12/21
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- 11/5/11
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東京の季節
- 著者
- 高木健夫
- 発行
- 昭和30年(1955年)
- 著者
プロフィール - 1905年福井県生まれ。「国民新聞」「読売新聞」「大阪毎日新聞」などの記者を経て、昭和14年北京で「東亜新報」を創刊して主筆となる。 戦後「読売新聞」に論説委員として復帰、昭和24年から17年間コラム「編集手帳」を担当。
夏
七夕
七タ―天の川の中心は地球から三万光年余のところにある―
まだ降ったり曇ったりのうっとうしい天気だが、きょうはもう七夕(たなばた)だ。旧暦の七月七日前後になると星はもっともっと美しく仰がれるのだが…。
牽牛(ひこぼし)と織女(たなばた)の話を考えだした古代人の想像力はまことにたくましい。晴れた夜、空を仰げば、天の河が流れている。ちょうどその頭の真上の天の河をはさんで牽牛星(鷲座の主星アルタイル)と織女星(琴座の主星ヴェガ)がまたたいている。やるせない愛情の発火信号! どちらも一等星だが、織女ヴェガはざっと廿七光年の彼方にある遠い星だ。しかも太陽よりも温度が高い星なのだ。そのような高い熱を持っていながら恋人の牽牛アルタイルと一年に一度しか会えぬ。この日に雨が降れば天の河は豪雨の筑紫次郎のようにハンランして二つの星は会うことができない。
この話は人間の煩悩を、はてしれぬ宇宙の大いさにないまぜ、とけこませて、わたくしたちに人生と自然の摂理とを考えさせずにはおかない。宇宙の広さはどれくらいあるだろう?宇宙の果ては数十億光年の遠方だというが、いくら天文学的数字といっても、ちょっと計算が出来そうにもない。
初夏となり、外へ出て星を見る機会が多くなると人々は「天文学者」になる。星を見て、宇宙の広さに思いをはせ、子供のように素朴な疑問を起す。そのきっかけをつくるのが七夕のころであり、その説話である。寒くなると、もう星空を見て哲学するよりもコタツに入って恋愛小説を読む方がよくなってしまう。笹竹をたてたり、ワラで馬をつくったり、七へんも海に入ったり、お墓を掃除したり、日本の七夕の民俗行事もところによっていろいろちがう。しかし少女が技芸が上達するようにとねがう乞巧((きっこうでん)の精神だけは、中国でも、日本でも、今も昔もかわらずに七夕を迎えて締り返される人間のあわれな美しさであろうか。